新しい食品文化の創出を目指す削り節が祖業の静岡の老舗「カネジョウ」。同社の次世代を担う望月さんに、削り節や無添加食品のこだわりついて語っていただきました。
生産終了寸前だった削り節のチャンス
—一時期生産をやめようと思われていた削り節製造を続ける中で、どのような課題があったのでしょうか?
いわし削り節の製造は手間がかかる上、昔ながらの技術に頼っているため効率も悪いんです。カツオ削り節と比べると工程数も5倍以上多いですし、原料の仕込みに半年以上の時間がかかります。
さらに原材料となるイワシの漁獲量減少とそれに伴い価格も高騰しているのですが、品質も低下していて。漁獲時期も年々変わってきてしまって計画的に原料仕入れをするのも難しい。
その結果、イワシの削り節を諦めるかどうか、現社長からは話に上がっていました。
—それでも続ける決断をされた理由は?
実は展示会での反応が大きかったからなんです。イワシとカツオの削り節を食べ比べてもらってアンケートを取ったところ、イワシ削り節を食べた女性のほとんどが『これ、美味しい』と言ってくれた。カツオよりイワシを好む人が多かったのは驚きでしたね。と同時に多くの方がイワシ削り節の存在を知らなかった。プロのバイヤーでも「イワシのカツオ節??」と聞き返してくるくらいでした。
さらに削り節をご飯にかけて食べたことがある人もほぼいなかった。誰も知らなかった価値がそこにありました。そこから削り節は終了にさせない、続かせると必要があると考えて、ECサイトを含む改革を始めました。
それから、生産ラインの見直しや価格改定、パッケージの変更など多方面からの改善を進めていきましたね。
(今回取材にご協力いただいた望月さん)
—その話を聞いただけで削り節が食べてみたくなりました、カネジョウ様の削り節はどのようにこだわられているのでしょうか?
先々代、先代の昔から食べやすさと美味しさを徹底的に追求してきました。うちの削り節はふんわりとした薄削りにすることで、口当たりを良くしています。この削り節の美味しさを実現するには、良い原料とそれを支える技術が不可欠です。
正直、良いイワシが安定して手に入る時代ではありません。それでも、私たちは品質を守るため、他社よりも1.5倍から2倍の価格で原料を買い付けることもあります。良い原料を価格が高くても優先して買い付けることで、原料の生産者との信頼関係を築き、いわば『いいサイクル』を作るようにしています。良い自信作が高く売れたときって普通に嬉しいじゃないですか。
また、原料の品質が十分でない場合でも、人の手を加えることで品質を補う工夫を行っています。原料にムラがある時もよくありますが、手間と時間を惜しまずかけることで、最善の状態に仕上げる。これが私たちの、作ることへのこだわりです。
(カネジョウ様のいわしの削り節)
「無添加」の追求と挑戦
—特にカネジョウ様は「無添加」「化学調味料不使用」っていうのにこだわられていますよね。
正直なところ、無添加という言葉はあまりバイヤーには刺さらなかったですよね(笑)
最近は傾向として変わってはきましたが、そこまで求めていないって言われてしまったり。。。特に弊社のような国産で無添加でエキスなども使っていないものは、オーバースペックだと言われたこともありました。どこに並べたら良いかわからないとか。
無添加というと、味が薄い、物足りないといった印象を持たれることが少なくありません。特にこれまで化学調味料やエキスに頼ってきた業界では、ただ単に添加物を省くだけだと美味しさが失われてしまう場合が多いのではないかと・・・。
無添加食品を開発する際は、今まで旨味を増強して商品の味を作るために使ってきた化学調味料やエキスを「抜く」という作業をするため味がどうしても落ちてしまうことがあるのではないでしょうか?
—確かに無添加って味が薄かったり、がっつりとした味がないイメージがありますね。
しかし私たちが提供する無添加商品の目指す姿は、安心して食べられるだけでなく、美味しさも伴ったものです。無添加だからこそ良い原料と良さを引き出す技術が問われます。カネジョウでは、無添加でありながら美味しさを追求するため、原料選びから味付けを含む製造プロセスまで徹底したこだわりを貫いています。
例えば、削り節やふりかけに使われるイワシや昆布といった原料は全て国内で作られた信頼できる生産者のものを使用しています。それだけでなく、素材同士の相乗効果を活かして自然な旨味を引き出す配合を考えています。無添加だからこそ、素材の良さを引き出すことが全てなんですよ。また味付けにもこだわりを持っています。微妙な違いをシンプルな味付けで補正することで、化学調味料やエキスに頼らずとも誰もが「美味しい」と言っていただけるような味を実現するよう心がけています。
—なるほど、無添加でもシンプルに美味しいを突き詰めているのですね。
また私たちが提供する製品は日常に溶け込む製品であり、かつ料理をキッチンではなく、テーブルで完成させられるような手軽さも重視しています。イワシ削り節はシンプルにご飯にかけるだけでも美味しいですが、ゴマ油や醤油をかけたり、さらには明太子やキムチ、納豆などのご飯のお供とかけ合わせることで、簡単に新しい味の発見ができます。
無添加の商品は、使い方を強制するものではありません。いろいろな食材との組み合わせの自由を楽しんでほしい。それが家庭の台所で起こる小さな冒険のようなものなのです。
また、「無添加だからこそカネジョウの商品を選ぶ」という消費者の信頼を築くため、高品質な原料を使用し、加工技術にも徹底したこだわりを持っています。
例えば『高級ハンバーガー』や『ハイスペック醤油ラーメン』がありますよね。ジャンクフードだけど素材や技術にこだわっていて美味しい。そして肩ひじ張らずに気軽に食べられる。
私たちの無添加商品も、日常生活の食の受け皿としてそんな立ち位置を目指しています。
—ハイスペック醤油ラーメン って面白いですね!カネジョウ様が提供する製品のこだわりが見えてきました。
食卓の定番を変える挑戦
—でもやっぱり無添加で美味しい味わいを出すのは難しいんじゃないですか?
無添加食品は、特別なものではなく日常の中に当たり前にあるべきだと思っています。そのためにカネジョウが注力しているのは、消費者に馴染み深い食品を無添加版に置き換えることです。
例えば、スーパーの棚に並ぶ定番商品「わかめご飯の素」や「ふりかけ」。これらのほとんどは添加物が使われていますが、日常的に使いやすく、家庭の食卓に欠かせない存在です。カネジョウはこの「いつもの食卓にある無添加食品の定番提供すること」で、食卓に新しい選択肢を届けようとしています。
わかめご飯の素は、私たちの地元である静岡の学校給食で人気だった味を参考に作りました。わかめご飯は、地元の小学校で子供たちに親しまれていたメニューで、地域の人々にとっては懐かしい味わいです。
この商品はご飯に混ぜるだけでなく、卵かけご飯やパスタに使う方も多いですね。簡単に美味しい一品が作れるので、忙しい家庭でも活躍しています。
—パスタにも使えるのですか!?ぜひ食べてみたいです。望月さんが目指す気軽に美味しい、無添加というのがもっと身近になればいいですね!
だしを取るのは気軽でいい加減で大丈夫だと思っている派です。
削り節をそのまま料理にかけたり混ぜたりするだけで十分美味しいです。本当にうまい!さらに、良い削り節はお湯を注いでお醤油をいれるだけで簡単にお吸い物にもなるんですよ。めちゃくちゃファストフードだと思いませんか?
料理は楽しみ方の一つであって、決して強制されるものではないと思っています。削り節はそのままご飯にかけるだけでも良いし、ゴマ油や醤油を足せばさらに深い味わいになります。いわし削り節をたっぷりかけたご飯に生卵割り入れて、オリーブオイルに塩と黒胡椒をガリガリっとして、ちょっとバターを加えればカルボナーラ風になったり(笑)
こだわって作られたものだからとか和食材だからとかいって型にはまらずに、消費者が自由に組み合わせを楽しめる食品でありたいです。そして、幅広い年齢層に受け入れられる簡単手軽なジャンクフードのような使い方をして欲しいですね。
—ちなみに望月さんが思う買うべきおすすめの製品ってどちらですか?!
全部ですが、いうのであればイワシ削り節とわかめご飯の素です。どちらも使いやすく、美味しいので初めての方にもぴったりです。削り節はご飯にかけるだけでも絶品ですし、わかめご飯の素は卵かけご飯やパスタにもアレンジできるので。 あと、腸活と言うキーワードで食感と原材料も意識して作った「いその、玄米雑穀かけるだけ」という商品もオススメでリピート率がとても高くてオススメしたいです。カリカリっとしていて味もしっかり作ってあるから美味しいんですよ。
—朝ごはんに食べたくなりました!最後にカネジョウ様が目指す姿を教えてください!
私達は自分が食べて美味しくて、これからも食べ続けていきたいというものを作っています。無添加だからといって特別なものにするのではなく、『カネジョウが作っているなら毎日食べても安心だ』と思ってもらえるようなブランドを築きたい。例えば、削り節が簡単に使える食材であることをもっと広めることで、和食文化自体も現代のライフスタイルに合った形に進化できると思います。
—取材を終えて。食卓の多様性、お手軽な美味しさを追求するカネジョウ様の熱い姿を見せてくれました。
カネジョウ様の無添加商品は、シンプルでありながらも多様な楽しみ方を提案しています。従来の食品の枠組みを超えた挑戦であり、これからもっとカネジョウ様の製品が広がっていく未来がはっきりと見えました!
「家庭での料理は、時には効率的で、時には創造的であるべきです。私たちの商品はその両方をサポートできる存在になりたい」という言葉は非常に私個人の心にも刺さりました!
カネジョウの無添加商品が食卓に新しい価値を提供する未来。その一歩一歩が、私たちの毎日を豊かにしてくれるでしょう。
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