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卓越した淡路島玉ねぎを全国へ——仲田青果が切り拓く新しい食の価値

淡路島の名産である淡路島玉ねぎ。その中でも、今までのやり方にとらわれず新たな挑戦と価値を生み出し続ける玉ねぎ農家の仲田青果様。今回は、仲田青果代表補佐を務める仲田一平さんに玉ねぎ作りへのこだわりや想い、そして今後の取り組みについてお話を伺いました。


仲田青果創業の歴史とブランド化への道のり

——まずは仲田青果様の創業の背景についてお聞かせください。
1962年4月に、私の祖父が創業しました。当時は現在のような生産・卸業ではなく、主に運送業に近い形で玉ネギを木箱に積み込み、淡路島から阪神地域の市場へ三輪トラックで運んでいました。今でこそ運送業者に依頼するのが当たり前ですが、当時は祖父自身がトラックで市場に運んでいたと聞いています。その後、現代表の父の代になり、もともと仕入れが中心だった状態から徐々に自社生産も増やしていきました。機械化を進めることで生産量を拡大したり、収穫時期の調整や土壌改良など品質向上にも力を入れたりと、多岐にわたる努力を重ねることで安定して高品質な玉ねぎを供給できるようになりました。

——仲田さん自身は子供の頃から農家を継ごうと思っていたのでしょうか?
実は、2年前くらいに農家になろうと思い帰省したのですが、それまでは小さい頃から農業に特に関心もなく、親の仕事を手伝ったこともありませんでした。農家になるまでは新聞社に勤めていて、全国各地を転勤しながら取材を通じて地域の産業や文化に触れていました。そんな中、淡路島の玉ねぎが各地で高く評価されていることを耳にするたびに自分の家業の価値を再認識するようになり、後継というポジションは自分にしかできないし、それを生かさないのはもったいないと感じたんです。また、当時は8歳と6歳の子供を育てながら転勤を繰り返していたこともあり、自分や家族の人生設計を考え地元に戻り就農することを決めました。

——淡路島産の玉ねぎは本当に美味しくて有名ですもんね!就農してからはどのようなことをしたのでしょうか?
帰郷して家業を継ぐと決めたとき、玉ねぎの品質向上だけでなくそれをどう伝えるかが大事だと考えました。農家の方々は自分たちの作物の魅力を知っていても、それを言葉にするのが苦手な方も多い。そこで、私自身の経験を活かしてブランド化や情報発信に力を入れるようになりました。例えば、『淡路島産の玉ねぎ』という認知はあるものの、『仲田青果の玉ねぎ』が知られているわけではなかったため、より知ってもらうために、『淡路島いち玉ねぎ』という愛称をつけました。この名前は『一番』美味しいものを届けたいという想いと私たちの生産場所が兵庫県南あわじ市市市(みなみあわじし・いち・いち)という変わった地名で生産していることから由来しています。

——面白い名前の地域名と『一番』という意味で覚えやすいネーミングですね!
ありがとうございます。その他にもより客観的に玉ねぎのおいしさを伝えるために、野菜ソムリエサミット2023年に出品し、金賞を受賞しました。翌年にも金賞を獲得したことで2年連続となり、これは淡路島産玉ねぎでは初のことだったので、これをきっかけに品質の高さや美味しさを客観的に証明できたと感じています。その後もリーフレット作りやHP作りなど積極的にPR活動を行い、全国の消費者に『淡路島いち玉ねぎ』を知ってもらうための取り組みを進めています。

玉ねぎへのこだわり——最高の品質を生む秘訣

——淡路島いち玉ねぎは、特に甘みが強いと評判ですが、品質向上のためにどのようなこだわりがありますか?
玉ねぎの品質を左右するのは、土作りと栽培環境です。淡路島は温暖な気候とミネラルを豊富に含んだ豊かな土壌が特徴で、玉ねぎ栽培に最適な環境になっています。私たちは一つの畑で「お米→レタス・白菜→玉ねぎ」の三毛作で繊維分・栄養分たっぷりの畑を一年間維持し、玉ねぎにやさしい土づくりに力を入れています。加えてこちらの言葉でばらけ(牛糞堆肥)を使用することで、肉厚で大玉の玉ねぎ作りに欠かせないフカフカの土づくりをしています。

——栄養たっぷりでフカフカの土で作られたからこそ美味しさがより一層増すんですね!おすすめの玉ねぎや食べ方はありますか?
いくつかありますが、特におすすめなのが『ターザン』と『濱の宝』の2種類です。ターザンは6月以降に取れる茶色い皮付きの玉ねぎで、加熱すると甘みが増すのが特徴です。濱の宝は新玉ねぎの品種で、辛み成分が少ないので生食やサラダで食べるとシャキシャキの食感と甘味を楽しめます。どちらも野菜ソムリエサミットで金賞を受賞した玉ねぎで、審査員の方々からは「目をつぶったら、玉ねぎとはわからないかもと思うくらい甘い、優しい香り」「一枚一枚が厚いのでジュワ〜っと美味しさが溢れてきます」「レンチンだけで、甘く、凝縮したうまみが感じられるのはすばらしい」と高評価を受けました。ぜひ、玉ねぎのおいしさがダイレクトに伝わる『丸ごとレンジ蒸し』で食べて欲しいですね。その他にもオニオンステーキやオニオンスライスなどももちろんおすすめです。


今後の目標——さらなる挑戦と未来への展望

——これからの仲田青果様の目標について教えてください。
私たちが目指しているのは、ただ玉ねぎを販売するのではなく、玉ねぎを通じて“価値”や“体験”を提供することです。過去に玉ねぎをオンラインで買ってくださったお客様から「今まで玉ねぎを嫌いだった子供が好きになりました」「あまりにも美味しかったので、友人とか家族にお裾分けした」という声をいただき、玉ねぎの”食べた人の行動を変える力”に気づかせてくれました。だから私たちが玉ねぎのもつ単なる食材を超えた力をより広めていき、多くの人に価値や体験を提供していきたいと考えています。
また、地域との結びつきや教育活動も強化していきたいです。例えば、玉ねぎは販売過程で皮を大量廃棄しているのですが、地元の小学校と協力して食育の授業を行ったり、玉ねぎの皮を使った染め物体験を企画したりすることで、地域の子供たちに農業の楽しさを伝えていきたいと考えています。ビジネスにはなりませんが、今後の淡路島玉ねぎや子供達のためにも何かの形でプラスアルファになってくれればいいなと思っています。

——食べた後の行動が変わるほどの感動は、生産者にとっては最高の言葉ですよね。最後に消費者の方へメッセージをお願いします。
ー次産業の分野において、消費者と一次産業者は離れていると感じているので、その距離がもっと縮まったらいいなと思っています。こう言った発信活動をすることで生産者側から縮まるのが望ましいですが、消費者の方から近づくきっかけ作りができたらいいなとも考えていて、推し活のように好きな生産者やブランドを見つけられたら面白いなと思います。あとは少しでも気になったら実際に食べてみてほしいですね。今まで食べているものや同じ種類のものを食べ比べて自分の味覚に合う玉ねぎに出会い、その後の行動や考えが少しでも良い方向に変わってくれたら嬉しいです。

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